「なぜそちらの賃上げ分をこっちが負担するの?」…恐怖すら感じる「値上げ交渉」を迫られる中小企業
賃上げする分、少しでも取引価格を上げてほしい—。中小企業が従来の商慣行になかった要請をしている。岸田文雄首相が2日に来夏の目標として「物価高を超す所得増」を掲げる中、働く人の7割を占める中小に必要なのは値上げによる賃上げ原資の確保だ。取引を停止される恐怖と背中合わせで交渉に臨んでいる。(渥美龍太、畑間香織)
◆「交渉すること自体が怖くなる」
「取引価格の値上げに全く応じてくれない取引先はある」。コールセンターを運営する中小企業「経営支援」(東京都町田市)の茶谷武志社長(55)はこう説明する。賃上げを本格化させた昨年から、長年据え置きだった取引価格の値上げ要請を続けている。
今年は人手が集まりにくくなったため、パート募集時の最低時給を2回、50円ずつ上げて1200円にした。売り上げの7割近くを人件費が占める構造の中で正社員らも合わせて上げ、今年は会社全体の賃上げ率が前年比5%近くにもなった。
この2年、値上げが必要な理由を「人件費の高騰」と記した文書を作るなどして要請を続け、理解を示す取引先もあった。しかし「交渉が決裂したことがある」とも明かし、「交渉すること自体がたまに怖くなる」と言う。来年に向けては「業績の好転ができなければ、今年並みの賃上げは無理だろう」と感じている。
◆すんなりいかない人件費の転嫁 増える「人手不足倒産」
全国中小企業団体中央会によると、昨年7月時点で原材料上昇分を転嫁できた中小企業の割合は79.9%だが、人件費の引き上げ分の転嫁だと23.7%。別の中小企業団体幹部は「『なぜそちらの賃上げ分をこっちが負担するの?』と言われる。電気代とかの転嫁とは全く違う」と実態を明かす。
転嫁が不発で賃上げできなければ、人手を確保できない。帝国データバンクによると、離職などに伴う人手不足倒産は上半期の4〜9月で前年比2倍以上の135件と初めて100件を超えた。政府は2日に決めた経済対策で、人件費の適切な転嫁を促す指針を年内に作ることを盛り込んだが、危機感は広がっている。
人件費の価格転嫁 企業が販売する商品・サービスの価格に、賃上げコストを上乗せすること。鉄やアルミといった原材料費、電気やガスなどのエネルギーコストと比べ、共通の指標がないため転嫁をしにくい。交渉で足元を見られるため、中小企業が賃金情報を開示すること自体が難しい。公正取引委員会は、仕事の発注者が人件費上昇分の転嫁について受注者と協議せず取引価格を据え置くことを、優越的地位の乱用になる恐れがあるとの見解を示した。政府が検討中の指針では、発注者が人件費転嫁の取り組み状況を経営トップに定期的に報告することなどを盛り込む。
◆「雇用が逃げていく」
300人未満の中小労働組合が8割強の産業別労組JAMは8月、転嫁を訴える集会を開き、ガス容器製造の神鋼機器工業労組(鳥取県)の御船博書記長が「転嫁ができないとベースアップができない。雇用が逃げていく」と吐露した。
1999年の結成以来転嫁の問題を訴え続けてきたJAMだが、集会では全国の構成労組からの報告は同社以外は匿名で、東海地方は参加すらできなかった。安河内賢弘かたひろ会長は「勇気を出して声を上げるのも難しいのが現実だ。だが変えないといけない」と話した。
◆「大企業は中小に一定の還元をしなければ足元から崩れる」
人を大切にする経営学会・坂本光司会長の話 中長期的には中小企業は賃上げのため、自ら値決めができる技術力や管理力を持ち、取引先を増やさねばならない。だが今は人手不足で社員が採用できずに離職が増えている上に、付加価値がないまま賃上げをしたら人件費倒産をしかねない。政府は公正な取引の監視を強化することが必要で、利益が出ている大企業は中小に一定の還元をしなければ足元から崩れる。日本経済全体に影響する問題だ
値上げの要求が受け入れられないなら取り引き止めろ
そうやって漬け込まれるから奴隷になっているんだろ
どうせ切られりのは時間の問題だろ
取り引き先はお前の企業を守る理由はないからな
その通り!
政府・公取がそう宣言するべき
とういうかそんな企業どんどん告発してやりゃいいのに
逆に値上げに応じてくれた企業も公表してやれ
悪徳企業なんか潰れりゃいいのよ
暴利を貪っていると非難される
ちゃんと利益を上乗せして、価格設定しないから
ちょっと賃金やら物価が上がっただけで、赤字転落
薄利多売はデフレではともかく、インフレではダメ